今日は毛色を変えまして地名のお話。

少し前(2016 年 6 月)に
当ブログでこんな記事を書きました。

このポテトチップスを製造しているのは
我が住処のある三郷市のお隣なんですが、
所在地の住所がとても変わっていることに
気づいたので、ちょっと深掘りしてみます。

「垳」

その住所は「埼玉県八潮市垳」。

「垳」は「がけ」と読ませるようです。
「あんまり見たこと無い漢字だなぁ。」
と思った方、それもそのはずで、
この「垳」という字は
この地名とそばを流れる「垳川」のみに
使われているんだそうです。

由来

諸説あるようですが、

水が流れていくときに

「土」が「行」くから

というのと、

崖を意味する中世の漢字「圻」が

字形揺れによってこの地では

「垳」に変化して定着

というのがその由来とされています。

国字?

以上のように、
この「垳」という字は
中国起源の漢字にならって
我が国で(というかこの地域で)
独自に作られた字のようです。

これを「国字」というそうです。
また、地域で生まれた漢字ということで
「地域文字」や「方言漢字」という
呼び名もあるようです。

例えば名古屋市にある「圦(いり)」
というのもこれに当てはまります。

飛び地も

ちなみに「垳」の町域を地図で示すと、、

中川を挟んで飛び地となっているのも
興味をそそりますね。

これはもともとこの川は
南東を蛇行していました
(一部は現在の大場川)。

その流路をまっすぐにしたのが
現在の中川でその両岸に
同じ地名が飛び地として
残ったという経緯です。

故にこの辺りは旧流路に
そって市境がありますので、
中川左岸も三郷市ではなく
八潮市となっています。

※ 同様に八潮市大瀬(おおぜ)、古新田も。

かつては消滅の危機も

「垳」はかつて区画整理の際に
「青葉」という町名に変更される
計画でしたが、有識者や地域住民の
反対によって変更されず残りました。

不動産業界などがイメージ向上のため
などと称して、歴史を無視した
地名などに変えてしまうやり方は
正直好ましく思っていません。

こういう歴史的な地名が
残っていくというのは
とても素晴らしいことだと思います。

したっけ。