最近報道を賑わせている「EV」という言葉について考察を。
ちょっと長めです。

EV とは

まず定義から。

ここでは広くネットを漁った結果、
ワタシの独断で一般的と思わる定義を書いておきます。

EV=Electric Vehicle は、
直訳すると「電気の車」ですが、
「電動車」とするのが一般的です。

その方式は様々でありまして、
以下では代表的なものを
ピックアップしてみます。

BEV(Battery -)

電気自動車。

電池(Battery)に蓄えた電気を動力源とし、
モーターで駆動するクルマ。

恐らく多くの方が EV と聞いて
思い浮かべるのはこれでは?

例:日産 リーフテスラの全車種

ただし、あくまでこれは EV の種類の一つ。
EV はこれ以外にもあるのです。

HEV (Hybrid -)

ハイブリッド車。
2 つ以上の原動機を持つクルマのうち、
特にエンジンとモーター組み合わせた物。

まぁ、これが一般的なハイブリッド車
という認識だと思います。

例:T 社 プリウス日産 ノートホンダ フィット(一部)

PHEV (Plug-in Hybrid -)

プラグインハイブリッド車。

ハイブリッド車のバッテリー容量を拡張し、
家庭用電源などからプラグを通して電力を供給(プラグイン)
し充電できるもの。

例:三菱 アウトランダー(一部)、T 社 RAV4(一部)

FCV (Fuel Cell Vehicle)

燃料電池自動車。

搭載した燃料電池で発電し、これを動力源として
モーターを駆動して走るクルマ。

例:T 社 MIRAI

2030 年ガソリン車ゼロ

つい先日、東京都知事の小池さんが
ぶち上げたこの施策、かなりショッキングなものと
捉えた方も多いかもしれません。

が、ここは皆さん、冷静に。

ここでの「ガソリン車」というのは、
ガソリンエンジン“だけ”で走るクルマ
(以下「純ガソリン車」)でして、ハイブリッド車は含まれません。
ここに実は逃げ道が用意されています。

救いはマイルドハイブリッド

ハイブリッド車をさらに分けると、
ストロング(フル)ハイブリッドと
マイルドハイブリッドの 2 つ。

「ストロング」と「マイルド」ってのは
モーターの出力の度合いで区別します。

例えばスズキのマイルドハイブリッドは
ISG と小さめのリチウムイオンバッテリー
の組み合わせ。

この ISG(Integrated Starter Generator)
というのは、ざっくり説明すると、
「発電機能を持ったセルモーター」。

セルモーターの機能を拡張させて、
発進時にモーターによるアシストが
入るようになっています。

また、減速時には発電機として使用、
そのエネルギーを電力に変換し、
バッテリーを充電(回生)します。

出力としてはセルモーターと
ほぼ同等で小さいもので、
これが「マイルド」たる所以です。

ちょっと説明が長くなりましたが、
何が言いたいかというと、
この仕組みならば純ガソリン車にちょい足しで
ハイブリッド車にできるということ。

多少のコストアップ 5 万円程度は発生しますが、
これなら幅広いジャンルの自動車に展開ができます。

2030 年以後の東京都では
しばらくこの方式で凌ぐことが
できるわけです。

ただし、あくまで「マイルド ハイブリッド」が
小池さんの言う「電動車」の範囲に入れば、ですが。

本当にゼロ・エミッション?

ここで新たな視点・言葉を。

Zero Emission Vehicle (ZEV) とは、
二酸化炭素(CO2)などの排気ガスを
発生しないクルマのこと。
先に挙げた BEV、FCV がこれに該当します。

世界的には ZEV を導入する
流れが加速している模様。

特に欧州、中国勢は血眼になって
BEV 導入に邁進しているようです。

で、日本(特に T 社)はハイブリッド車が主流で、
この流れに乗り遅れているのでは?
という論調も出ていますが、
ワタシはこれに異を唱えます。

「遅れている」のはあくまで
あちら視点。

例えば、同じく ZEV である
FCV で T 社・ホンダなどで
開発が進められていて、
あちらの国に比べて優位な位置にあります。

また、ZEV はクルマ自体からは
CO2 は出しませんが、
LCA (Life Cycle Assessment) という
観点でみると製造過程で CO2 を
産出しており、その製品の生産から廃棄までの
過程で生成される CO2 はディーゼル車と同等
(すなわち EV より HEV が低負荷)
という数値も出ているようです。

※ LCA=ある製品・サービスのライフサイクル全体
    での環境負荷を定量的に評価する手法。

がんばれニッポン

ということで、LCA という視点でみれば
日本の「ハイブリッド+燃料電池車」という
施策はあながち間違ってない
と言えるのではないでしょうか。

ちょっと弱い結論になってしまいました。
本当はもっと書きたいことが
あったのですが、さらに長くなりそうなので、
また改めまして。

最後にそのヒントとしてこの動画を。

したっけ。